虹のはじまり夏の終わり

8/23 3:20頃

実家で飼っていたうさぎのどれみちゃんが亡くなった。

数日前からご飯が上手く食べられなったので、前日に病院へ連れて行った。舌の先が炎症を起こしていて舌炎ということだった。薬を飲んで少しずつ元気になっていったんだけど、もう10歳になる手前だったので、急に限界がきたのかなと思う。

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2011年1月

母の還暦祝いに「何か欲しいものある?」と聞いたところ、「うさぎがいいかな。」と返ってきた。

愛犬を亡くして5年経っていたし、犬を飼うのはさすがに前のワンちゃんに悪かったので、うさぎならいいかなと思った。それにペットを世話することが、両親のボケ防止にもなるんじゃないかと、そんなことも含め頭の中で整理がついた。

何より「うさぎを飼う」って発想が母らしくて良かった。還暦祝いを贈る側の人間なのに、久しぶりに家族が増えるということ、うさぎという全く未知な(飼う上で)生き物を迎え入れることに自分がすごくワクワクしていた。

黒いうさぎ。

音楽好きの我が家だったので「どれみちゃん」と名付けた。

彼女はすぐにみんなの癒しとなった。


どれみについて書くと、

・うんち食べる(栄養を取るらしい)
・夜寝る時以外ゲージの外で過ごす
・おしっこはちゃんとトイレでする
・うんちはいろんなとこに落ちてる
・草とラビットフードと水がメイン
・バナナ大好き、キャベツも好き
・結構でかくなった(2.3kgとか)
・割とついてくる、足元をくるくるまわる
・呼べば来る(時もある)
・足にサカってくる
・抱っこはまあまあ嫌い
・ボールとか遊び道具に無関心
・首輪に鈴つけてた
・嬉しいとたまに鳴く
・急にダッシュ、スタンピングする
・ソファを占拠するくらいソファ好き
・ドテッと横になる
・うさんぽ4回くらいした
・手触り良し
・換毛期は自分で毛をむしる
・二階の部屋に遊びに来る
・爪切りに連れられると人間不信になる
・探索する、布団にもぐる、ソファで穴掘りする
・マッサージが好き
・ギターケースに飛び込む
・隣でギター聴いてた

すべてが新しくわからないことだらけだったので、何が良くて何が悪かったのかはわからない。それでも9年と7ヶ月一緒にいることができた。

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8/22 20:00頃

出先から連絡を受けて家に帰ると、どれみは病院へ行った前日よりもさらに軽くなっていた。足も上手く歩けなくなっていて、どう寝たらいいのか、楽な姿勢をずっと探しているようだった。

完全に弱っている。

もう無理かなと思った。

悔しかった。

もっと近くにいるべきだったし、もっと注意深く見てあげるべきだった。

でもここまで生きてくれて、いずれ亡くなるのであれば、こうやって最後に会えるタイミングを選んでくれたことに感謝だと思うと、後悔は消えてなくなった。

それから最後の夜は、家族交代で彼女のそばに付き添い、なんとなく話をしながら過ごした。

そして、小刻みなしゃっくりが、少しずつちいさくちいさくなっていった。

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8/27 20:00すぎ

あれからもう5日も経つ。

あんなに泣いて悲しんだのに、日を追うごとに悲しみが薄れていく。

人と話したり、仕事をしている時や、もう普通の日常生活において、どれみちゃんを忘れていたことに気づき、腹が立ち、嫌気が差す。

普通にご飯食べて、普通に眠れている自分。

なんて都合のいい生き物だ。

できればずっと悲しんでいたい。

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8/23 16:00すぎ

ペット霊園から帰る時、それまで晴れていたはずなのに、通り雨が降ったのか道路が雨で濡れていた。空は晴れている。これはひょっとすると、と思い車窓から空を探すとやはりうっすらと虹が出ていた。

家族を実家に降ろして、一人車で虹を追いかけた。

悲しくなんかないよ。

どれみちゃんがそう言っているような気がした。


(これを書いている現在)

あの虹はきっと悲しみに暮れる俺を見越した彼女なりのメッセージ。

そう都合良く受け止めて俺は前を向く。

進むしかないのだ。

またこうして文章を書いて気持ちを整理しようとしている自分に腹が立つけども(笑)

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2020年8月23日

どれみちゃん、今まで一緒にいてくれて本当にありがとう。

素敵な出会いでした。

おやすみ。

また会う日まで。