ツリーはまだ立っていなかった


駅のホームから

降りてくる君を僕は待つ
夕日が溶けて

夜がきたことに気づかずに


君はいつものように

微笑んでいたけれど
時間を止めようとはしなかった

春の終わり

二人で過ごした日々は

それはもう宝物で
仕組まれた運命など

忍び込む隙はなかった
見上げた夜空に星が光る

悲しみを知った君は
なによりもキレイさ
君の街のあのツリーは
いつごろできるのかな

変わらぬ部屋で

流れる音楽が切なくて
額に飾ったポスターは

今も立てかけたまま


僕はいつものように

君の名を呼ぶけれど
もう二度通らない道を行く

最後の朝

二人で過ごした日々は

それはもう宝物で
仕組まれた運命など

知る由もなかった
無邪気に笑う太陽が眩しくて

悲しみを知った君は
なによりも優しく
君の街のあのツリーは
いつごろできるのかな

悲しみを知った君は
なによりもキレイさ
君の街のあのツリーは
いつのまにか立っていた

悲しみを知った君は
誰よりも輝くのさ
僕が見てるあのツリーの街で
君は今も暮らしているのかな